脳障害編 30周年記念パネルディスカッション
重度の脳障害患者の電気生理学に関する
バイオ・ノーマライザーの効果(8′45″)
ロシア神経学研究所 首席研究員
ロシア科学アカデミー 会員
国際神経学会 会員
チャルノヴイリの被曝者に対して行われた研究結果から、
脳に損傷を受けた患者にバイオ・ノーマライザーを使用した所、脳機能の回復に効果がある事がわかりました。脳の生化学システムに直接作用し、
代謝を活発にさせる作用によって脳だけではなく全身の機能を高める働きをする。
バイオ・ノーマライザはさまざまな外傷に効くばかりでなく脳の機能障害にも効果があると考えられます。
01.紹介 |
【ラッハミレビッチ】脳疾患におけるバイオ・ノーマライザーの効果について報告していただきます。まず、ジャヴァロンコヴァ博士の講演です。コルキナ教授がご紹介くださいます。 【コルキナ】ルドミラ・ジャヴァロンコヴァ博士は、電気生理学者、生物学者、理学博士であり、仕事に非常に熱心です。電気生理学や、その方法の重要性、脳の機能の検査法について講演してくださいます。短い講演ですが、チェルノブイリ事故被害者に対するバイオ・ノーマライザーの効果についてもお話してくださいます。 |
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02.本文 |
尊敬する議長様、大里博士、奥様、そして参加者の皆様、コルキナ博士からご紹介があったとおり、私は人間の頭脳の機能に与えるバイオ・ノーマライザーの効果について報告させていただきます。 2年前に研究を始めましたが、外科の患者、つまり脳に損傷を受けた患者にバイオ・ノーマライザーを使用したところ、脳機能の回復に効果があることがわかりました。このことから、バイオ・ノーマライザーは血液脳関門を通過し、脳の生化学的システムに直接作用していると考えられます。この作用によって、脳の機能ばかりか、全身の機能が改善されるのです。この研究は、チェルノブイリの被曝者に対して行われました。被曝後13年たって、被曝者には精神・神経系の障害が多く見られています。 このスライドに示されているとおり、被曝者には若い人が多いのです。そして、そのうちの多くの人が神経系の問題を抱えています。次のスライドをお願いします。 この表には、どのような神経障害が被曝者にあるかが示されています。エンセファロパシー、無力症、心血管障害、性的障害、そして筋肉障害などです。 このグラフは、脳の機能状態を測定したものです。バイオ・ノーマライザー投与後、発作の回数の減少、そして脳波の正常化が見られます。左が治療前の異常な脳波です。右は治療後のグラフです。これでは振幅が小さくなっています。このことからも、バイオ・ノーマライザーはさまざまな脳機能障害に効果があることが証明されます。 生体電気の分析結果を数学的に処理したものです。この結果からも、バイオ・ノーマライザーによって脳の機能が改善されることがわかります。赤い部分は脳の機能的結合を示しています。投与前と比べて、投与後、その部分が拡大していることがわかります。何もしていないときや、脳に何らかの負荷が与えられたときに、脳がどのくらい働いているかを調べたわけですが、バイオ・ノーマライザー投与後、脳の機能状態は明らかによくなっています。 次のスライドです。これも脳の生体電気的分析の結果を数学的に処理し、平均値を求めたものです。世界中で認められた方法で、体の状態を体温計ではかるように、非常にわかりやすい形で脳の状態を測定するという方法です。この白い棒グラフが正常な脳ですが、チェルノブイリの被曝者には、異常に大きな値と異常に小さな値の両方が見られます。もちろん、それは治療前です。バイオ・ノーマライザー投与後、値が正常値に近づいていることがわかります。ここから、バイオ・ノーマライザーが正常化させる役割を果たしていることがわかるわけです。つまり、バイオ・ノーマライザーは、ノーマルにするという名前のとおりの働きをしているわけですね。実際にノーマルな値に接近していることがごらんいただけると思います。 もう一つ別のこともわかりました。この2番目のグラフは、脳内の生化学的反応が生じている部分に損傷がある患者の状態をあらわしています。このような患者たちに対して、バイオ・ノーマライザーの正常化作用が強く働いています。ほかの部分が損傷している患者に対する作用よりも、はっきりと強くあらわれています。このことから、バイオ・ノーマライザーが血液脳関門を通り抜けて、脳の生化学システムに直接作用していると考えることができます。代謝を活発にさせる作用によって、脳だけではなく、全身の機能を高める働きをする。したがってQOLが改善されると考えられるわけです。 以上の研究に基づいて、次のように結論づけてもよいと思います。すなわち、バイオ・ノーマライザーはさまざまな外傷に効くばかりでなく、脳の機能障害にも効果があると考えられます。 ご清聴ありがとうございました。 |
重度の脳障害患者の心理-情動および
神経状態に及ぼすバイオ・ノーマライザーの効果(10′42″)
ロシア神経外科学センター・リハビリテーション部 部長
脳や頭蓋に重度の損傷を受けた患者のリハビリに従事しています。2年前私の古い友人のコルキナ教授が私どもの神経外科研究所に大里博士、西村さんをはじめ何人かの日本からのお客様を連れて来ました。
私達の患者の運命を変えるような、しかも治療プロトコルに対する私の考え方をかなり変化させるようなそんな出来事になるとは思いも寄りませんでした。
01. 紹介 |
次の講演は、オルガ・マクサコヴァ博士です。脳障害後の情動効果にバイオ・ノーマライザーが及ぼす効果についての報告です。 |
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02.本文 |
2年以上前、私の古い友人のコルキナ教授が私どもの神経外科研究所に、大里博士、ニシムラさんをはじめ、何人かの日本からのお客様を連れてきました。私は初め、よくある外国人の研究所訪問かと思いました。私たちの患者の運命を変えるような、しかも治療プロトコルに対する私の考え方をかなり変化させるような、そんな出来事になるとは思いも寄りませんでした。 私はリハビリを主たる仕事にしております。脳や頭蓋に重度の損傷を受けた患者、脳出血の患者、また脳腫瘍の術後の患者のリハビリに従事しています。大里博士はその訪問の際、特に重症の患者と面会し、その何名かのためにバイオ・ノーマライザーをプレゼントしてくださいました。私たちはそのバイオ・ノーマライザーを数名の患者に試してみました。その後、研究のため、もっと多くの患者にバイオ・ノーマライザーを用いてみる必要があると判断し、臨床研究を行いました。結果の発表も行われています。たった今、ジャヴァロンコヴァ博士がその一部分を報告してくださいました。私は精神科のセラピストとして、現場からの報告をさせていただきます。 私どもの患者は退院後、自宅で暮らすようになり、治療を受けたり薬を服用しなくなっても、死ぬまで、次に申し上げるような症状に苦しみます。それは、疲れやすさです。彼らは仕事につけません。1時間以上働き続けられないのです。いわゆる打ちひしがれた状態になってしまうのです。既に傷は治っていると考えられるのに、身の回りのことすらできない場合もあります。私たちは、こうしたグループの人々、つまり、退院したけれども、まだ私たちの観察下にある人々に対し、バイオ・ノーマライザーを用いてみました。 患者本人が、よくなったと言っている点が重要です。なぜなら、こうした患者たちは自分の症状を過小評価したり、あるいは逆に過大評価して、社会に全く適応できないと考えたりするからです。多くの患者で言語障害の改善が見られます。また、記憶力もよくなっています。つまり、QOLが高くなったと言えます。社会にも自分自身にも適応できるようになったと考えられます。 こうした患者だけにとどまらず、去年から私たちは、より重症の患者にもバイオ・ノーマライザーを試し始めました。実は、私どもの病院には長期入院している重度の障害者がいます。彼らは私の担当するリハビリ科に登録されています。症状は多様ですが、既に外科的治療を終わっているので、リハビリ科で独自に薬理療法を施すことができます。 重症とはどういう意味かと申しますと、脳に重度の損傷を受け、長期間意識のない状態が続き、その昏睡から覚めても外界に全く反応できない状態にあるということです。しゃべれない、手足が麻痺している、人工呼吸器が外せない、人工食道からしか栄養をとれない。皆様もテレビや映画でごらんになったことがあるかと思います。このような植物状態でいると、感染症にかかりやすくなり、抗生物質も効かなくなってきます。脳の状態がよくなっているにもかかわらず、感染症のため死亡してしまう例もあります。私たちは、こうした状態の患者に対してもリハビリを行うことを任務としています。それぞれの段階で、回復があり得るのです。 では、ここで具体例を紹介したいと思います。これは、まだ十分検証された例ではありませんが、近いうちに科学的に実証されるであろうと信じております。まさに重症患者の例です。この患者は、現在でも私どもの研究所で治療を受け続けています。彼は67歳です。約1年前に、脳に重度の損傷を受けました。3カ月間、昏睡状態でした。人工呼吸器をつけ、人工食道から養分をとり続けていました。自分で食べ物を飲み込むことができない。つまり体が、機能のうち残ったものがほとんどないという状態でした。 4カ月後、ようやく意識が戻りました。しかし、しゃべれない、物が飲み込めない、動けないということが判明しました。私たちのリハビリの仕事が始まったのです。理論的には、かなりの状態まで回復できる潜在力があるとわかりました。しかし、先ほどお話しした感染症にかかってしまいました。寝たきりで、口から栄養がとれない。したがって、リハビリ運動など受け付けない状態でした。ですから、潜在的な回復力があることを考慮して、私たちのチームがエクササイズを勧めても、彼は拒み続けました。 そこで6カ月前に、バイオ・ノーマライザーの投与を決意しました。この表には、生化学的分析の結果が示されています。バイオ・ノーマライザー使用前と、4カ月間バイオ・ノーマライザーを投与した後とを比較したものです。ごらんのように、かなりよい結果が出ています。次のスライドをお願いします。 4カ月後、もちろん魔法のつえを使ったわけではありませんから、すぐにではありませんが、患者は自分の足で歩けるようになりました。まだ言語障害は残っていますが、自分から話そうとします。彼は教養のある、魅力的な紳士です。かつて教授として日本にも来たことがあり、人工知能の開発をしていた人です。現在彼は、自分で物を食べることができます。この写真は、私がカウンセリングを行っているところです。つまり、このレベルにまで回復しているのです。この治療では、夢の回復が試みられています。睡眠不足を訴えるので、よく眠り、夢を見ることができるようにしようとしているのです。 結論を申し上げます。このように、私たちは患者を助けることができるのです。バイオ・ノーマライザーがもっとたくさんあればよいと思います。バイオ・ノーマライザーは、私たちのリハビリチームにとって必要不可欠なものとなっています。 ご清聴ありがとうございました。 |