農業編 30周年記念パネルディスカッション
農業におけるバイオ・ノーマライザーの効果:作物の成長促進、品質向上、病害防除(11′08″)
大里博士研究所 農学分野研究員
バングラディッシュ農業研究機関 研究員
バイオ・ノーマライザーの人への適用から農業分野、食物への適応という大変興味深いテーマです。
バイオ・ノーマライザーが私達が口にする食物の質をどう高めるかについての報告です。
成長促進、土壌条件の改善、野菜の品質向上、農作物の病害の抑制の4項目に分けて実験しました。
01. 紹介 |
【ラッハミレビッチ】最後の講演になりました。バイオ・ノーマライザーのヒトへの適応から、農業分野、食物への適応という大変興味深いテーマです。岐阜大学農学部のモンダル博士の報告をお聞きください。 |
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02.本文 |
議長殿、ご紹介ありがとうございました。大里博士ご夫妻、議長のコルキナ教授、並びにご来席の皆様にご挨拶申し上げます。 私たちは、4点に分けて研究しました。第1点目は成長促進、第2点目は土壌条件の改善、第3点目が野菜の品質向上で、最後がバイオ・ノーマライザーによる農作物の病害の抑制です。 この最初のスライドは、農作物におけるバイオ・ノーマライザーの成長促進効果を示しています。種子や土壌にバイオ・ノーマライザーを使いますと、研究室条件あるいは圃場条件で、インゲンマメ、トウモロコシ、ホウレンソウ、小麦の各種農作物に飛躍的な成長促進効果が観察されました。時間的制約から、スライドを選んでここにお見せします。種子をバイオ・ノーマライザーで処理しますと、ごらんのとおり成長が促進され、対照区と比較して高い成長が観察されます。これは無処理区です。バイオ・ノーマライザー処理の植物に、健康な根の驚異的な発育も認められますが、成長促進の一因子として、圃場にまいた種の発芽、及び根の正常な伸長性繁殖によるものと考えます。
これは、バイオ・ノーマライザー使用後に土壌条件が改善された一例です。ご存じのとおり、同じ土壌に毎年作物を栽培しますと、土壌は自動的に劣化するか、滋味が乏しくなりますが、私たちはそこに着目しました。バイオ・ノーマライザーの使用による土壌条件の改善です。なぜバイオ・ノーマライザーが土壌条件の改善に効果があるかの理由は明らかではありません。ごらんください。これが対照区です。これはバイオ・ノーマライザー処理中のものです。 そして、ここにもう一つ、バイオ・ノーマライザーで処理したものがあります。土壌をバイオ・ノーマライザーで処理すると、対照区よりも顕著な土壌条件の改善が観察されました。野菜の質を高めるバイオ・ノーマライザーの効果は、こちらをごらんください。ご存じでしょうが、抗酸化物質はヒトの健康増進に極めて大切です。そこで私たちは、作物をバイオ・ノーマライザーで処理するなら、野菜に抗酸化特性が得られ、ヒトの健康増進に有益になるのではないかと検討してみました。ごらんください。ホウレンソウにバイオ・ノーマライザーを葉面散布すると、対照区より高いアスコルビン酸含量が観察されました。 ここに見えるのは、タンニンの含量です。バイオ・ノーマライザーの種の浸漬処理によって、タンニン含量は有意に高まりました。タンニンとアスコルビン酸は抗酸化物質としてよく知られていますので、バイオ・ノーマライザーで処理した野菜を食べるならば、私たちの健康が確実に増進されます。 それでは、バイオ・ノーマライザーによる植物の病害抑制という、とても興味深い、とても明瞭な結果を提示します。バイオ・ノーマライザーは、数種の作物の各病害を抑制するという非常に明白かつ興味深い結果を示しました。例えば、インゲンマメの根腐れ病、トマトの萎凋病、小麦の根腐れ病で、学術用語でテイクオールと呼ばれるもの等々です。ここで、各種農作物の病害を抑制するバイオ・ノーマライザーの効果を示すスライドを厳選してお見せしますが、この農作物はご存じのインゲンマメで、インゲンマメの根腐れ病は、この作物にとって非常に深刻な病害です。温室条件でバイオ・ノーマライザーを用いますと、この病害は100%抑制されました。しかし、これを圃場条件でバイオ・ノーマライザーを用いますと、本病害の抑制は60から80%くらいです。 この農作物、トマトはよくご存じのことと思います。みんなトマトが好きです。さて、トマトの病害は日本では萎凋病と呼ばれ、世界の至るところで非常に危険な病害です。本病害を効果的に抑制する化学物質はありません。私たちは、本病害を抑制するバイオ・ノーマライザーの著しい効果を観察しましたが、これは水耕栽培の双方、つまり水試験系と土壌系において認められました。研究の詳細は進行中です。 次に、ホウレンソウの萎凋病です。これは非常に恐ろしい病害です。この病害に感染したホウレンソウを同じ土壌に栽培しますと、年々病害が猛威を振るうようになりますが、しかしここでもバイオ・ノーマライザーによる、この病害の顕著な抑制効果が判明しました。 極めて興味深い結果をごらんいただきます。種子をバイオ・ノーマライザー溶液に浸漬した後、病原菌を接種しました。対照区の植物に見られる病害の高発生率をごらんください。しかし、バイオ・ノーマライザー処理区の発生率は低いのです。バイオ・ノーマライザー処理区でなぜ病害が抑制されたか、おわかりですか。答えは非常に簡単です。植物体内の抵抗システムが誘導されたからです。これが病害抑制の理由です。 この結果をごらんいただいた限りでは、バイオ・ノーマライザーに抗菌活性があると思われるかもしれませんが、実際、私の研究では、バイオ・ノーマライザーに抗菌活性は全く見られませんでした。高濃度のバイオ・ノーマライザー処理後でも、病原菌胞子の発芽は抑制されませんでした。 では、バイオ・ノーマライザーはいかにして植物の病害を抑制したのでしょうか。いろいろと試しておりますが、1実験ではバイオ・ノーマライザー処理時に、植物のペルオキシダーゼ含量が高値を示しました。病原菌を植物に接種しますと、このようにバイオ・ノーマライザー処理植物のペルオキシダーゼ含量が、対照区と比較して高いことがおわかりいただけます。さらに、ペルオキシダーゼ含量と病害抑制は密接な関連を示しました。ペルオキシダーゼ含量が上昇するならば、病害は必ず抑制されます。
興味深い結果、実験室条件で実施した研究結果のほとんどを見てきたわけですが、圃場条件で同様の結果が得られるならば、私たちの努力が結実するのはもちろんです。 |