昨今、予防医学という言葉が使われだして久しいですが、優れた農作物は優れた疾病予防となり、健康維持促進へとつながります。一般的に農薬であれば「体に優しい」として健康に良いような印象を受けますが、優れた農作物というのはそれだけで判断できるものではありません。また、農作物は一つ一つ個性があり、品種が違うだけでも好む土壌や育成環境が異なります。
大里三旺研究所では微生物研究とパパイヤ栽培で培った成果を農作物栽培に活かすための受託研究を行っています。
1) 土壌フローラ(細菌叢)の調査
土は無機成分である地質の影響と、植物や微生物といった土壌動物生命体の活動が関与しています。土壌改良と言えば土の三相の比率が4:3:3となっている土が成育に適した土とされています。土の三相というのは、固相(粒子などの団粒)、液相(土中水分)、気相(土中の空隙部分)のことです。土の固相というのは馴染みが少ないかもしれませんが、粘土や砂などの粒子、有機物由来の腐植などが集まって固まった団粒のことです。この団粒によって構成される土壌は適度な空隙が存在し、排水性及び保水性に優れ、やわらかい土となり、微生物が繁殖しやすくなります。
土壌中には様々な種類の微生物が生存し、お互いに影響を及ぼしあいながらバランスを保っています。この微生物のバランスが崩れ、作物に害を与える細菌などの微生物が著しく増加すると土壌病害を起こす。これは、私たちの腸内フローラ(細菌叢)と同じで、善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌がたくさんいれば、免疫力が高まり、病原菌は悪さを発揮できずに排除されることと同じです。
土壌フローラは土壌菌が団粒の粒子(団粒構造)を整えることによって、適度な空隙をつくり、排水性及び保水性にを同時に改良します。これまでは、鉱物を粉末に又は高温処理し多孔質にした無機質系のパーライト、バーミキュライト、ゼオライト(粘土鉱物)や分子数の多い高分子系のポリエチレンイミン、ポリビニルアルコールなどの化学物質による土壌改良材が使用されてきました。しかし、排水性及び保水性の目的を土壌フローラの形成と考えた場合、動植物が主体成分である木炭、もみ殻、腐葉土などの有機系の土壌改良材に注目が高まっています。
大里三旺研究所ではそうした社会の要望に応え、土壌フローラの受託研究を行っています。
2) 圃場整備(ほじょうせいび)
耕地区画の整備、用排水路の整備、土層改良、農道の整備、耕地の集団化を実施による、労働生産性の向上を科学的に提案します。